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0727 THIS IS PRIDE!! ~林夏生さん(LGBT法連合会共同代表)のスピーチ全文掲載

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自民党杉田水脈議員によるLGBTはもとより、度重なる社会的弱者への差別発言に対し、与野党を含む各議員、団体から批判が集まる中、7月27日、自民党本部前で抗議集会が行われた。既にその模様は各メディアが詳細に伝えているところだ。
今回の騒動で特に印象深いのは、LGBTの中でも保守層の動きが鮮明になったことだ。私としては、LGBT内部のイデオロギー対立に的を絞って何か書くべきだと感じていたのだが(というのも他の仲間やメディアの記者らが出来ることを私がしても何の意味もないし)、ところが、集会で登壇した林夏生さんのスピーチがあまりにも素晴らしく、何度聞いても涙しか出ない。氏へのリスペクトと共に、僭越ながらここに全文掲載させて頂く。
イデオロギー対立(も大事なのだが)より、とにかく今の私はこれを人に読ませたくて仕方がないのである。

もし、LGBTについて何か知りたい、何かこれから勉強したいという人は、何も考えなくていいから、ともかくこのスピーチから入ってもいい。あるいは子供にまず聞かせたい。何度でも聞かせたい。

なぜならば、ここにはLGBTにとって「プライド」の意味が何であるか、「ゲイ」という言葉が同性愛者にとってどんな意味を持つのか、ゲイにとって「カムアウト」が何であるのか。
その「全てが詰まっている」と言っても過言ではないからである。

私の御託はいいので、以下、全文掲載する。

林夏生さん(LGBT法連合会共同代表)スピーチ

「THIS IS PRIDE」

絶対今日は来なきゃいけないと思ったんです。

今回私たちは傷つきました。

悲しみました。

私は大学で教えています。その中で性の多様性の話をようやくこの3年間始めることが出来ました。そしたら、大学生が次々に言うんです。

先生、どうしてこんな大事なことを小学校、中学校の時に教えてくれなかったんですか?もしそれを知っていたら、酷く虐められていた自分の友達を助けてあげることが出来たのに。もしそれを知っていたら、自ら命を絶ったあの友達を助けることが出来たかもしれないのに。

杉田議員、あなたご存知ですよね。2015年の動画の中で「性的マイノリティの自殺率は6倍だ」って、あなた、嗤いながら言ってました。
あれを見た時に背筋が凍りました。一体どれだけたくさんの命を見送れば、世の中は変わってくれるんだろう。ずっとずっと辛かった。

差別の言葉がなんでダメなのか、それはその時耳に刺さるだけじゃないんです。その言葉はその言葉に触れた人の心の中にずっと残るんです。「あなたは必要とされてない」ってその一言、それが寝ても覚めて繰り返されてしまうんです。

わたしがそうでした。

古い町の長男に生まれながら、親に孫の顔を見せることが出来ない僕なんて生まれてくるべきじゃなかったって…!物心付いた時からずっと思ってたんです。

誰ですかこんなこと私に吹き込んだのは…。

でも、こんなのは30年前のことだ、40年前のことだろうと思ってたら、違うんですよね。地方の町の中では、まだまだ昔の私と同じように自分を呪いながら生きている若い子たちがたくさんいるんです。

私が懸命に中学校を回り、高校を回り、あなたはあなた、大切なあなたなんだからと言っても、あなたの言葉が(杉田議員の言葉が)それをみんな吹き飛ばしてしまう。こんなことは許せない。

 (ここでその場で聞いていた女性から「全部、話して!」と声がかかる)

 (半ば応える形で)私、カミングアウトしてないんですよ。はい。

それはどうしてでしょう? だって、カミングアウトなんかしたら私は生きて行けないって、ずっと自分の中で言い聞かせて来たからです!

でも、この一週間、知りました。黙っているより、もっと怖い事が起きるんだって。だから、私はここで言います。

 

私は、ゲイだ!

(声援と拍手)

それが、どうした!!

(声援と拍手)

私たちはここにいる!THIS IS PRIDE!! 

シュプレヒコール

THIS IS PRIDE!!

 

今回のことはみんなが優しくなれば解決することじゃないんです。

優しい気持ちになれる時も、そうじゃない時もあるから、だから私たちに必要なのは「制度」なんです。「ルール」なんです。

この世界の風向きが変わったって、誰も傷つけることのない世の中にするために、どうか一緒に「制度」を作って下さい!!

私は大学の教壇でずっと学生たちに「政治を諦めるな」って言ってるんです。
「諦めたくなるような政治」はどうか終わりにして下さい。

これからもいい世の中を一緒に作っていきましょう。
ありがとうございました。

 


解説

「THIS IS PRIDE」のメッセージがあまりにも力強く、素晴らしすぎて、他の大事な部分が忘れ去れてしまいそうなので解説を付け加えておく。

タイトルに相応しいフレーズなので勝手にもタイトルにしているが、ここで宣言された「THIS IS PRIDE」は、まさに世界中のプライドパレードのスピリットに通じるものだ。

スピーチは「THIS IS PRIDE」のくだりでマイノリティの「誇り」と「感情」、「怒り」や「痛み」に訴える頂点を迎える。それは「マイノリティの運動」にはなくてはならない「生きるエネルギー」「生命力」そのものだ。
しかし、このスピーチが本当に優れていると私が感じたのは「THIS IS PRIDE」でマイノリティをエンパワーした後である。
ここで林さんは、『優しい気持ちになれる時も、そうじゃない時もあるから、だから私たちに必要なのは「制度」なんです。「ルール」なんです』と訴えている。

私たちは人間なので、怒ったり、悲しんだり、傷ついたら「痛い」と感じる。喜びを他の人と分かち合うことも出来る。しかし、感情を完全にコントロールすることが出来ないこともまた人間であるからこそで、互いに傷つけあうことも、もちろんある。
お互いが人間らしくあり、かつ互いに傷つけ合わないためには何が必要なのか。
そこでは「制度」「ルール」が必要なのだと「具体的な答え」を用意しているのである。

前半ではマイノリティが生きて行く上で必要な「知識」、「自尊心」と同時にマイノリティが置かれている状態を「カムアウト」で自ら示し、後半では「社会」という大きな枠組みから見たマイノリティへの「施策」「政治」について語っている。

後に林さんにお話を伺うと「LGBTユースが直面する深刻な生きづらさや命のリスク」「ふんわりした『優しさ』に依存しない、確実なルールづくり」「政治を諦めることなく、人々と共に社会を作る」というメッセージを込めたと語っている。

現在、LGBTを含めマイノリティについて学習する機会や手段が幾つかあげられるが、4分弱という短時間でこれだけの大切なことを伝えるスピーチは本当に「貴重」だ。

政治色を倦厭する東京のプライドパレードにその特徴がよく表れているが、日本のLGBT運動は、保守・右派、自民党とのバランスを取りながら続いて来た。
そこで「怒り」「抗議」を自民党へ明確に訴える今回の動きは「日本型プライド」の限界と節目であり、まるで「日本版ストーンウォール」を目撃したような印象すら覚え、感動的である。
「THIS IS PRIDE」はその口火を切った史上に残る名スピーチだった。

 

動画はこちらからご覧いただける。
ほうとうひろしさんのFace Book 

抗議:杉田議員辞職を 自民党前、LGBTなど5000人 - 毎日新聞

 

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林夏生 @NatsuoHAYASHI LGBT法連合会共同代表 ダイバーシティーラウンジ富山代表

北陸ひと模様:ダイバーシティラウンジ富山代表・林夏生さん /石川 - 毎日新聞

LGBT法連合会

【声明】衆議院議員杉田水脈氏の論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」 に対する抗議声明 | ニュース | LGBT法連合会

トップイメージ提供 しげ(Masayoshi Maruyama)@shige_cham「多様性を対話する。lag(ラグ)」 「にじいろ絵本カフェ」「性・ジェンダーセクシュアリティを対話する交流会」

東京新聞:性的少数者で子育て中 経験元に性の多様性講座 来月24日・武蔵野:東京(TOKYO Web)

 

-追記-
ブログ掲載について林氏にご協力頂きました。私自身良い機会を頂きましたこと、この場を借りて重ねて氏に感謝します。ありがとうございました。しげさん、イメージありがとう。いつか会いましょうね。

-訂正-

・スピーチ中ほど「いったいどれほどの命を譲れば」→「~命を見送れば」に訂正。ブログをご覧頂いた方からご指摘を受けました。ありがとうございました。

・肩書を削除。後半の解説の部分を改稿しました。大幅な改稿はしないのですが、今回は諸事情のため。